人々の願いとともに今もたたずむ石仏

Stone Buddha あの“微笑み”にまた会える

如意輪観音(入新町百番観音入口)

石仏の里、望月で出会うのは、道の辻々、野辺の草むら、田畑やお寺の片隅にひっそりといらっしゃる、愛らしい野の石仏さま。道行く人々から、あまたの願いを込められても、困った顔ひとつせず、今も変わらず慈悲深い温かいほほえみ。村人の平穏な暮らしを、旅人の安全を、ずっと昔から見守り続けてきた姿が、心に染みいります。

 

百番観音石仏群(入新町)

 

●百番観音石仏群(入新町)
明治初年頃に、さまざまな願いを込めて近隣の人々が寄進して造られた百体の観音像。西国・板東・秩父の日本三大霊場の功を受けられるとして多くの庶民に信仰されました。

●祝言道祖神(中山道脇・百沢)祝言道祖神(中山道脇・百沢)
宮廷貴族風の衣装をまとった男女が祝言を挙げ、酒を酌み交わす双対道祖神像。顔はどちらも細面で優しく美しさに満ちており、民衆の素朴な道祖神というより気品さを感じる貴重な道祖神。
●長坂の道祖神・馬頭観音(長坂)長坂の道祖神・馬頭観音(長坂)
僧衣姿の二神が正面に向かい合掌をする仏教系道祖神。左は馬の厄除けや冥福を祈る馬頭観音。
●万治の石仏(天神)万治の石仏(天神)
万治2 年(1659 )に建立され、現在は県道わきの古墳上に鎮座する金剛界大日如来像。
●片手拝み道祖神(熊野神社参道)片手拝み道祖神(熊野神社参道)
三角烏帽子(神道)に片手拝み(仏教)姿の、全国にも例をみない、ユニークな神仏習合像。
入布施の大日如来(入布施)●入布施の大日如来(入布施)
五郎兵衛用水を見守る仏として造られた、坊主頭で着衣をつけない裸体の大日如来像。
●縁結び道祖神(湯沢/源泉公園内)
縁結び道祖神(湯沢/源泉公園内)性器を露出した男神の右手が女神の胸にさしのべられた、男女融合のほほえましい道祖神。
庚申塔「青面観音」(牧布施)●庚申塔「青面観音」(牧布施)
庚申信仰のご本尊。顔が青く六手(四手・二手もある)三眼の、怒形相をした金剛童子像。
道祖神って?
望月の古い道の辻や村はずれの道端には、庚申塔、馬頭観音、地蔵尊、道祖神、大日如来など多種多様の石神石仏の像や碑が祀られています。なかでも道祖神は、江戸時代の中頃から道中安全、さまざまな疫病や災難の侵入から守ってくれる神として、さらには家内安全、縁結び、子育てといった、生活に根ざした願いをかなえてくれる神として信仰されてきました。男女の二神が仲睦まじく並んで立ち、そっと手を握りあったその様子は、温かい、平和な村づくりを表徴しています。